未成年後見人の指定
未成年者の子供がいる場合に、信頼できる方を未成年後見人として 指定できます。
未成年後見監督人の指定
未成年後見人を監督する者を遺言でのみ指定できます。
相続分の指定及びその指定の委託
遺言で相続分を指定した場合には、上記に記載した法定相続分とは異なった相続分(例えば、長男は2分の1、次男は3分の1)で遺産を相続 させることができます。
但し、具体的に土地は長男、預貯金は次男というように指定するわけではないので、下記の遺産分割の方法の指定と併用する場合がほとんど です。
遺産分割の方法の指定及びその指定の委託
民法では、上記の法定相続分が決まっているだけです。遺言により指定しないと、当事者の話し合いに任せられます。
そして、遺産分割の方法の指定は、通常は上記の法定相続分は変更せず、その範囲内で具体的に特定の財産を特定の相続人に引き継がせるかを決めることを言います。
しかし、実際の遺言書には、3の相続分の指定を含むことが大半です。
なお、遺産分割方法の指定をする場合には、不動産は長男、預貯金は次男と曖昧な記載をするのではなく、不動産ならば登記事項証明書の所在及び地番等を記載したり、預貯金の場合には、金融機関名や口座番号等で具体的に特定することで後日の相続人間の紛争を避けることができます。
又、遺産分割が無事終わった後にも遺産が被相続人が記載し忘れていた遺産が発見されることがあります。そのような場合に備えて、「本書に記載なき遺産及び後日発見された遺産は、○○がこれを取得する」と一筆記載することをお勧めします。
遺産分割の禁止
被相続人の遺産は、通常被相続人の死亡時から法定相続人に承継され、法定相続人全員の協議により自由に分配することができます。
但し、被相続人は、遺言によってのみ相続開始の時から5年を超えない期間内で遺産分割を禁止することができます。遺産の全部について分割禁止することもできますし、特定の遺産分割を禁止することもできます。
すぐに分割を開始すると争いが起きそうな場合などに分割を禁止しますが、遺産分割を10ヶ月以内に行わないと、相続税の申告で支障をきたしますし、税制優遇などの各種特典が利用できなくなるなどのデメリットもありますので、禁止する際は慎重に検討しなければいけません。
遺産分割における共同相続人間の担保責任の指定
各共同相続人は、その相続分に応じ、他の共同相続人が分割によって受けた債権について、分割の当時における債務者の資力を担保します。
例えば、相続人甲、乙、丙(各相続分3分の1)が遺産分割協議をして、甲が不動産(300万円相当)を、乙が現金300万円を、丙が300万円の売掛金(弁済期到来済)を相続した場合、もしも、売掛金の債務者が丙に300万円を返済できなかった場合には、他の相続人である甲及び乙は、丙に対して相続分に応じて担保責任を負担することになります。
この場合には、甲乙丙は、それぞれ100万円(300万円×3分の1)ずつ負担することになります。よって、甲と乙は、丙に対して、100万円ずつ支払うことになります。
遺言執行者の指定及びその指定の委託
遺言者は、遺言の執行者を指定することができます。遺言執行者とは、遺言の内容を具体的に実現する人のことです。遺言執行者には、未成年者及び破産者以外なら自然人に限らず法人を指定することもできます。
又、一人又は数人の遺言執行者を指定することも可能です。
遺言の内容を実現するといいますと、例えば、不動産の相続登記、自動車、火災保険や電話加入権等の名義変更や預貯金の解約・払戻、遺言書の検認手続や遺言者の子の認知や相続人の廃除の手続等の裁判所 の手続き等多岐に渡ります。
遺産が多くあれば、その分手続きは煩雑になります。遺言執行者は、遺言者に代わってそれらの手続を進めてくれます。遺言執行者は、相続人がなることもできますが、特定の相続人を指定するよりも信頼できる第三者になってもらうほうが良いと思われます。
遺言執行者が指定されると、相続人は財産を勝手に処分することができなくなり、その後の各種手続は、遺言執行者が行うことになります。
遺言執行者は、子の認知や相続人の廃除及び廃除の取消を遺言に記載するのでなければ、必ず必要というわけではありませんが、手続きを円滑に進める為にも、遺言執行者を指定することをお奨めします。
子の認知
生前には認知ができないような事情がある場合でも、子に相続権を与えるために遺言による認知をすることができます。
遺言による認知の場合には、遺言執行者が認知の届出をすることになります。
相続人の廃除及び廃除の取消
遺留分を有する推定相続人(現時点で相続が発生した場合の法定相続人)が、遺言者に対して、虐待、重大な侮辱、その他の著しい非行がある場合でその推定相続人に遺産を分配したくない場合には、相続人の廃除の家庭裁判所へ請求することができます。
相続人の廃除は生前にもできますが、遺言でもすることができます。遺言で相続人の廃除をする場合には、遺言執行者が、家庭裁判所へ廃除の請求をすることになります。
又、生前に廃除をした場合に、遺言で廃除の取消をすることもできます。